気まぐれ日記    日本の背骨を跨ぐ紅葉狩りドライブ

 いつの間にか秋なんて書いたのはついこの前の気がするが,あっという間に秋も終わり.なんか最近,日が過ぎるのがぶっ飛んで早い.
 10月末からのどうしようもない課題が一段落ついた所で,紅葉狩りがてら,久しぶりのロングドライブに行ってきた.

 飯やら,祭りやら,帰省やら,バイトやら,なにかにかこつけては中長距離を走ってはいるが,純粋なドライブってのは意外と少ない.…まぁ,前者もドライブか.
 そんなんで,今まで福井・富山・能登方面はよく行っていたが,今回は初・岐阜県突入である.



 今回も,適当に夢の後輩やら友達やら誘って,朝9時出発予定.朝方は寒かったが,絶好のドライブ日和.
 …が,同行Mの都合でいきなり出発1時間半遅れ.置いてくぞ〜

 紅葉といえば,白山スーパー林道あたりがこの辺じゃ定番だ.だが,石川暮らし5年で実は一度も行ったことがない.
 11/10から冬季閉鎖だそうだから,走るとしたら今回しかないだろう.
 今回しかないんだろうけど…高い! 通行料\3100はなんぼなんでも高すぎるっしょ.

 結局,絶好の行楽日和に,出発が昼前までずれ込んでしまっては,車を見に行く羽目になりそうだったんで,スーパー林道は諦める.
 R157で白峰を越えて福井県に入るが,案の定,スーパー林道手前の瀬女あたりはごった返していた.

 勝山までは,いつもの福井天下一品・晩飯ドライブで通る道だが,そこから先を走るのは初めてだ.
 勝山までのR157は,片側1車線の急坂ワインディングだが,それを下りきって,大野へ向かうルートに入ると,平地を走る中分つき片側2車線になる.
 さっきまでの田舎道から,急にこんな道になると,ちょっと戸惑う.

 周りを走る車をみると,家族連れ系も多いが,なんたらRがつく車が連れ立って走っていたりもする.バイクも多い.この晴天だ.みんな考えることは一緒やな.



 大野まで来て,R158に入ると,再び田舎道へ.
 国道沿いにはそこそこの建物があるが,その奥には山裾まで,だだっ広い田園風景.山が迫り,狭いようで広いようで狭い土地に,山裾まで建物はない.なんか遠近感が狂いそうだ.

 ここから少し走ると,再び山が迫り,九頭竜峡に入る.狭い谷を,九頭竜川に沿って遡る.
 川沿いのワインディング.まぁ,車も多いし,天気もいいし,景色を楽しみながらゆっくり走る.


 このあたりでも,紅葉は見られるが,まだもう少しって感じだ.
 山と川と,うっすらと紅葉に,秋のやわらかい日差しが気持ちいい.

 ところで,九頭竜峡は景勝地として有名なだけでなく,その水量から,電源開発もされていて,川を遡っていくと,大野から上流の50kmに3基のダムと複数の発電所が点在する.
 どっかで見た雰囲気だと思ったら,先月に行った黒部峡谷と一緒なんだな.これは北陸の豊富な雪解け水によるものだろうか.



 民家のほとんどない峡谷を延々と走り,そろそろ休憩を考え始める頃に,峡谷を抜けて道の駅九頭竜湖につく.
 ところが,やっぱりみんな考えることは一緒.しかも昼食時とあっては駐車枠を奪い合うくらいにごった返していて,ここに入るのは諦める.

 道の駅を過ぎ,川岸を離れ,山肌に沿って上り始めると,眼前の谷を横切って,巨大な盛土が現れる.

 こいつが九頭竜川系の電源の親玉,九頭竜ダム.堤高128mの傾斜土質遮水壁型ロックフィルダムである.
 見慣れた,重力式とかアーチ式のコンクリートダムは“ダム”って気がするが,一見ただの巨大な盛土のロックフィルダムは,なにか不思議な感じだ.
 そういや,小さい頃に川に遊びに行って,よくこんなん作ったなぁ…ってな感じ.

 ちなみにロックフィルダムとは,岩石や土砂を積み上げて建設するダムで,中心部の遮水壁とそれを支えるフィルター材,さらに外側にロック材と,3重5層からなる.
 地盤が軟弱でコンクリートダムが建設できない場所にも造ることができるそうだ.
 日本ではコンクリートダムが多く,ロックフィルダムはあまり見かけないが,世界では早くから建設されているそうだ.タジキスタンのログンダム(建設中・堤高335m)のような巨大ダムも存在するそうで.(by Wikipedia

 まぁ,盛土だわな.
 コンクリートダムのようなあからさまな人造物って感じがなく,なんだか優しくも感じる.


 堰堤上から下流を望む.
 眼下に見えているのは長野発電所の変電設備.(発電所は地下)

 ダムの管理事務所には資料館があって,見学できる.
 九頭竜ダムは,洪水調整と発電目的の多目的ダムで,1968年竣工,総貯水量は3.53億m3と全国で第6位の大型ダムである.
 ダム直下の長野発電所で22万kW,下流の湯上発電所で5.4万kWの発電容量を持つそうだ.


 資料館に,発電機の模型が展示してあった.人型と比較すると,発電機の大きさがよくわかる.
 縦軸単輪単流渦巻フランシス水車に,縦軸回転界磁全閉内冷式3相交流発電機.
 あれ,でもなんで手取川第一発電所? 同規格ってことか? そんなわけないよなぁ.

 ダムで休憩して,さらに湖畔を走る.
 九頭竜湖は国内のロックフィルダム湖としては面積最大の890ha.だそうで,いつまで走ってもダム湖が続く.
 谷は開けて明るいし,道はほぼ平坦な軽いワインディング.走りやすい道が延々と続く.秋空と紅葉と,鏡のような湖面の組み合わせが綺麗だ.


 ダム湖も終わりに近づいたあたりで,箱ケ瀬橋が見えてくる.通称“夢の架け橋”だそうだ.
 この吊り橋は瀬戸大橋のテストケースとして建設されたそうで,なるほど,見覚えのある形である.
 湖岸の紅葉に赤い吊り橋が映える.



 湖が終わると,国道は山に入り,油阪峠を越えて岐阜県に入ればそこは太平洋側,長良川の上流域に出る.
 実はこの峠道がなかなかの紅葉の見所だったらしいのだが,気がつかず油阪峠道路のトンネルでショートカットしてしまったのは失敗.
 県境を越えると,直線距離3000mで高度差300mと,長良川に向け豪快に高度が下がる.最後のどこまで回るねん! な450°ループを下りきって背後を見上げると,遥か上に,宙を切るようにして,さっき走った油阪峠道路が見えるのが面白い.


 油阪峠を下りきって,R156との交差点にて信号待ちで,正面にあった商店.
 1F:種鮎・川虫・游漁証 2F:パソコンサポート  …凄い組み合わせだ.

 しかしさすがに,出発が遅い上に,寄り道しまくりで,既に時刻は14:30.さすがに腹が減った.
 九頭竜峡に入ってからダムを過ぎ,湖畔を走っている間の約50kmで,ごった返していた道の駅九頭竜以外に食事できそうな所がまったくなかったわけで,ようやく飯にありつけそうな場所に下りてきたわけだ.(そういや,GSもなかったな)
 とりあえず手近な道の駅白鳥に滑り込む.


 ここでようやっと遅い昼飯にありつこことができた.“奥美濃カレープロジェクト実行委員会”なるものを見つけて,“よもぎもち入カレーうどん”なるものを頼んでみる.
 なんでも,健康食を目指そうとして,よもぎを使おうとして,TVチャンピオン初代カレー王の先生に相談してできたメニューだそうで.

 カレーは学食級の甘口だが,しつこさはなく,なかなか美味い.表面がカリッとして,中はモチモチのよもぎ餅もカレーとよく合う.
 さすが,カレープロジェクト? なだけあって,なかなか.


 このあたりは標高が低いこともあってか,紅葉にはまだ早いって感じ.
 しかし,この目の前を流れてるのって,長良川なんだよな.
 長良川って,たしか伊勢湾に注いでる奴だよな.てことは,ココ,太平洋側ッスよ.ついさっきまで日本海側にいたわけで,なんとも不思議な気分.



 道の駅で1時間近くぶらぶらしてしまって,気がついたら時刻は16時前.
 川辺って,なんか時間がたつのが早いんよね.
 ここからR156を北上して,白川郷に向かう.

 後輩の話によると,このあたりに“日本の中心”って碑があるそうだ.
 時間がない上に詳細不明なのでパスするが,なんか能登半島の先端でもそんなん見た気がするな.
 確かに地理的には中部地方が中心だろうが,言ったもん勝ちのような気がする.他にもあるんじゃないかな.

 道の駅白鳥を出て長良川沿いに少し北上すると,それまでなだらかだった道が,急にヘアピンカーブが現れて急に高度を上げ始める.
 遅い軽を抜いて,この坂を上りきると,ひるがの高原.白鳥から15分と,たいした距離じゃないが,実はココは標高900m近い.なんか今回は上り下りが激しいなぁ.
 ここに,分水嶺公園なるものを見つけて寄ってみた.


 太平洋に注ぐ長良川と,日本海に注ぐ庄川の分水嶺で,水の流れが分かれていくのを見られる数少ない場所だそうで.
 人工的にそうしたような気もするが,ここは西側の白山系の高山から下りてきて,台地状に平らな場所が広がる場所だから,そんなこともあるのかもしれない.
 しかし来たときには水は溜まっているだけで,下流側は枯れていた.残念.


 ここまで来て,ようやく見応えのある紅葉にお目にかかれた.
 夕日に照らされて,紅葉がさらに引き立つ.綺麗だ.



 日が暮れる間際で,なんとか今回の目的を達成して,やれやれである.
 ひるがの高原を過ぎると,道は再び下りに入り,またここは日本海側,庄川に沿って下り始める.
 しかしここから白川郷までの間は,東海北陸自動車道が未完の区間のせいで,やたら車が多い.やれやれだ.

 途中の御母衣湖岸の道路のトンネルに,背の高い車が通ると片交になる(普通車は対向可能)トンネルに気を揉んだり,ブレーキランプがまったく作動しないGOLFに肝を冷やしたり,本日3体目の巨大ロックフィルダムを横目で見たりしながら,あとは一路,金沢を目指す.
 ホントは白川郷も寄りたかったんだが,既に時刻は17時.さすがに11月では暗くなるのが早く,出発が遅れた分で諦めて素通りだけ.

 その後,後輩の買い物に付き合ったり,飯食ったり,夜景眺めに行ったりして,結局帰ったのは22時を過ぎてたかな.
 車だと,ろくに写真が撮れないのが難点だが,いろいろ見れたのはなかなか面白かった.
 やっぱり太平洋-日本海の分水嶺越えは半端ないな.


  今回の走行距離:356.1km

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