出来事帖    日本家屋の解体 in 百島  家屋解体

 百島へ
 郷里・百島
 家屋解体
 大和に乗艦
 さて,今回の帰郷の最大の目的は母の実家の片付けである.
 人が住まなくなった家は荒れる一方.しかし今すぐどうにできるわけでもなく,かといってそのまま放置しておくわけにもいかない.そこでちょくちょく来て,2〜3日の間に,庭の草刈やら,家の中の片付けやら,家具の救出やらをやっていく.
 しかも今回は夏とあって,家に入る前にもうひとつ厄介が.



 さて今回もやってきました.俺はここに来るのは1年ぶりくらいだが,家族はもう少し頻繁に来ている.
 さてこの門の向こうはどうなってることやら.



 見事に崩れてます.一気に崩れるわけではないんだが,徐々に朽ちて,来るたびにひどくなっている.
 が,それよりこの庭の草.
 これを何とかしないことには家に出入りすることすら難しい.しかし草の下からは石やら,自転車やら,いろんな物が出てくるんで,草刈機を使うこともできず人海戦術.
 1日目の午後と2日目の午前はこいつらの処理で過ぎた.

 草を刈ってると,潜んでた小さい虫が大量に飛び出すんだが,それを狙ってどこからともなくトンボの大群が飛来.
 ここだけ一足速く秋の風景でした.



 さて家の中はというと…

 台所…いや,もと台所だな.壁が崩れてえらいことになってしまってる.
 こうなると迂闊に電気も使えない.今回来たときは3系統あるブレーカーの1系統が死んでいた.




 さて,今回の一番の課題はこいつ.庭の端にある井戸と納屋なんだが,こいつが崩れると裏の路地が通れなくなってしまう.
 昼頃に夕立があったんだが,それだけでも土が水を吸って重くなり,見ている前で崩れていく.

 事態は非常に急を要する.

 とりあえず梯子をかけて,瓦を一枚づつ降ろしていく.
 が,半分ほど瓦を降ろしたところで,屋根が一気に崩落.
 ギリギリのバランスやったんやね.



 このあと,柱にロープをかけて,納屋vs人間×4の綱引き.
 10分ほどで勝負はついた.Win!

 屋根を落とした後の様子.



 裏側(路地側)はこうなってる.こらほっとけない.



 屋根の処理はすんだので,次は壁の解体へ.
 バールを使って,土壁に打ち付けられた壁板を剥がしていく.



 壁板を剥がし終わったら,斧やら槌やらを使って土壁を打ち砕いていく.ものすごい土煙が舞うので,水をかけながら.
 しかしなかなか崩れない.柱とか板壁と違って,土壁は衝撃をほとんど吸収してしまう.



 崩した土壁から出てきたもの.
 竹を縄で編んで,そこに土を塗ってある.土にも藁が大量に含まれていて,崩れにくくなっている.
 炭素繊維強化プラスチック(C-FRP)ならぬ藁繊維強化土(S-FRM?)てなところか.古くから使われてきた複合材料やね.

 ちなみに写真の縄のようなややこしい状態を,百島言葉で「ちんくくりかんくくり」と言うらしい.なんとなくしっくり来る言い回しやね.



 完全に崩された土壁.
 天然素材は元の姿に還る.



 見通しがよくなってしまった.
 これでお隣さんから苦情が来ることもないだろう.



 危険だった路地もこのとおり.
 MissionComplete.


<<BACK >>NEXT              >>EventDiary >>HOME